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Micron、AIインフラ需要でメモリ不足が深刻化 HBM偏重が従来DRAM市場に波及

Posted on 2026/01/19



米Micron Technology(マイクロン)は2026年1月16日、米ニューヨーク州シラキュース近郊において、総額1,000億ドル規模となる新たなメモリ製造拠点の起工式を実施した。式典後、グローバルオペレーション担当EVPのManish Bhatia氏は、Bloombergなどの取材に応じ、足元のメモリ需給環境について見解を示した。

「前例のない不足」──HBM需要が供給構造を変質
Bhatia氏は現状について、「本当に前例のない(really unprecedented)供給不足が起きている」と指摘。直近1四半期で需給逼迫が急速に進行したと説明した。背景には、生成AIの普及を受け、データセンター向けGPUアクセラレータに搭載されるHBM(High Bandwidth Memory)の需要が急増していることがある。

HBMは従来型DRAMやLPDDRと比べて製造プロセスが複雑で、TSV(Through Silicon Via)を用いた3D積層工程を含むため、生産能力の制約を受けやすい。その結果、スマートフォンやPC向けといった従来用途のDRAM供給が相対的に抑制される「排他効果」が顕在化している。

2026年以降も供給逼迫が継続 OEMの先行確保が進展
Micronは、こうした供給不足が2026年以降も続くとの見通しを示している。Bloombergによれば、DellなどのOEM各社は、すでに2026年以降を見据えたメモリ調達の前倒しに動いているという。

AI向けHBMは高価格帯で利益率も高く、メーカー側の生産優先度が上がりやすい。一方で、PCやスマートフォンといった民生市場向け製品は、供給面で後回しにされるリスクが高まっている。

米国内メガファブ建設、供給網再編と政策誘導の象徴に
今回起工した新拠点は、米国における先端半導体供給網の再構築とも密接に関わる。計画の概要は以下の通り。
所在地:ニューヨーク州オノンダガ郡クレイ
投資総額:1,000億ドル(20年間)
構成:最先端メモリ工場4棟
目的:国内製造回帰、サプライチェーン安全保障の強化
式典には、MicronのCEOであるSanjay Mehrotra氏のほか、上院多数党院内総務のChuck Schumer氏、ニューヨーク州のKathy Hochul知事、米商務省・労働省関係者らが出席し、政府による政策支援の姿勢が改めて示された。
AI需要の拡大を背景に、米国ではNVIDIAを中心とするGPUサプライチェーンの上流工程、すなわちHBMやCoWoSを含むアドバンストパッケージング工程の国内確保が重要課題となっている。Micronの今回の投資は、その戦略の一環と位置づけられる。
DRAMは「汎用品」から「戦略資源」へ
今回のメモリ不足は、従来の景気循環によるものではなく、AIワークロードの拡大に伴う需要構造の恒久的な変化が主因とされる。特にHBMは、GPUのメモリ帯域制約を解消する中核技術であり、その供給能力がAIインフラの立ち上がり速度を左右する。
こうした状況を受け、DRAMはこれまでの民生中心の汎用品から、地政学やAI産業政策とも結びつく「戦略資源」へと性格を変えつつある。



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