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SMC熊本第2工場、3ナノ量産へ「飛び級」 高市氏が首相官邸で魏会長と会談
Posted on 2026/02/05
台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家(ウェイ・ジャージャ)会長兼社長は5日午前、首相官邸で高市早苗・経済安全保障担当相と会談した。関係者によると、TSMCは建設中の熊本県菊陽町の第2工場に、現行の最先端となる3ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスの量産ラインを導入する方針を正式に伝達した。実現すれば、日本国内で初めて3ナノ級の先端半導体を量産できる拠点となる。
高市氏は会談後、AIと半導体が「危機管理と成長戦略の中核」であると強調し、TSMCの技術引き上げを歓迎した。3ナノ半導体は、AIデータセンター、自動運転、先端ロボットなどの基幹部品であり、経済安全保障の観点からも極めて重要だと指摘。経済産業省はこれに呼応し、2026年度予算案で先端半導体・AI関連支援を約1兆2300億円規模に拡充する方針を固めた。
当初、熊本第2工場は6~12ナノといった比較的成熟したプロセスを想定していた。しかし、生成AIの急拡大で高性能計算(HPC)需要が爆発的に伸びたことを受け、TSMCは計画を上方修正する方向に転じた。設備投資額は従来想定の約122億ドルから約170億ドルに拡大する見込みだ。計画は最終調整段階にあり、変更の余地は残るものの、2028年までの量産開始を目指す。
産業政策の観点では、TSMCが先端技術を日本に移転することは、台湾本島での土地・電力制約を補完する意味合いも大きい。エヌビディアやアップルの主要サプライヤーである同社は、生産拠点の地理的分散を進めており、「台湾集中」への各国の懸念緩和につながる。TSMCは現在、経産省と計画変更の最終協議を進めており、日本の半導体製造基盤を一段と引き上げる公算が大きい。