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メモリー供給再編、台湾企業に商機
Posted on 2026/04/16
AIインフラ投資の拡大を背景に、世界のメモリー産業で供給構造の変化が進んでいる。サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンなど大手各社がHBM(高帯域幅メモリー)など高付加価値製品に注力する一方、汎用DRAMや一部のニッチメモリーでは供給が引き締まっている。こうしたなか、台湾企業の動向に注目が集まっている。
米Roundhill Investmentsは4月2日、メモリー関連銘柄で構成するETF「DRAM」を上場した。保有銘柄は9社で、台湾からは南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)と華邦電子(ウィンボンド)が組み入れられた。組み入れ比率は南亜科技が3.95%、華邦電子が2.35%となっている。
南亜科技は3月、約25億米ドル規模の私募増資を発表した。SanDisk、Solidigm、Cisco、キオクシアが引受先となり、調達資金は先進メモリー製造向けの設備・工場投資に充てる。SanDiskとキオクシアはあわせて南亜科技と中長期のDRAM供給契約も締結しており、AI需要の拡大を見据えた調達確保の動きとみられる。
華邦電子はNORフラッシュ、SLC NAND、ニッチDRAMを主力とする。HBMとは異なる分野だが、需給引き締まりの恩恵を受けている。3月売上高は145.01億台湾ドル、第1四半期売上高は382.53億台湾ドルで、いずれも前年同期比で9割を超える増加となった。
AI需要はデータセンター向けだけでなく、車載機器、産業機器、スマートデバイスなどエッジAI向けにも広がっている。こうした用途では、低消費電力や高信頼性、長期供給に対応できるメモリー需要が高まりやすく、ニッチDRAMやNORフラッシュ、SLC NANDなども対象となる。これは台湾企業にとって追い風となる可能性がある。
海外企業の台湾投資も続いている。マイクロンは3月、力晶積成電子製造(PSMC)の苗栗・銅鑼P5工場の買収完了を発表し、同地に第2工場を建設する計画を明らかにした。先進DRAMとHBMの供給拡大が狙いで、着工は2026年度末までを予定する。1月に公表された買収額は18億米ドルで、クリーンルーム面積は約30万平方フィート増える見通しだ。
力積電は今回の取引後も、マイクロンと長期的な協業関係を維持する。先進パッケージ関連のウエハー製造やDRAMプロセス強化などで連携するとしており、台湾勢は単独でHBM競争の先頭を走るのではなく、分業体制のなかで役割を広げる構図になっている。