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TSMC、3ナノ増産へ追加投資 台湾・米国・日本で新工場
Posted on 2026/04/17
【台北】台湾積体電路製造(TSMC)は16日の決算説明会で、人工知能(AI)需要の中長期的な拡大に対応するため、3ナノメートル工程への投資を拡大し、台湾、米国、日本で新たな生産能力の整備を進める方針を明らかにした。高性能計算(HPC)やAI半導体向け需要が広がるなか、先端工程の供給力を前倒しで確保する動きといえる。
董事長兼総裁の魏哲家氏は、2026年の設備投資計画を520億〜560億ドルで据え置いた一方、今後3年間の設備投資は過去3年間の累計1010億ドルを上回るとの見通しを示した。先端工程に対する顧客需要は今後も続くと判断し、生産能力の拡充を急ぐ。
計画によると、台湾・台南科学園区では3ナノ工場を新設し、2027年上期の量産開始を見込む。米アリゾナ州の第2工場も3ナノ工程を導入し、2027年下期に量産を始める予定だ。日本では熊本の第2工場で3ナノの量産を2028年に開始する計画で、台湾の一部5ナノ設備も3ナノ向けに転換し、全体の供給能力を引き上げる。
魏氏は、3ナノ需要がスマートフォン向けにとどまらず、HPC、AI、車載、モノのインターネット(IoT)向けへ広がっていると説明した。高帯域幅メモリー(HBM)向けロジックベースダイも対象に含まれる。各拠点で生産性向上を進めるとともに、7ナノ、5ナノ、3ナノの間で柔軟に生産を振り向けることで、需要変動への対応力を高める考えだ。「供給は依然として逼迫しているが、特定顧客を意図的に優先することはない」と述べた。
2ナノについては、2025年10〜12月期に量産を開始し、新竹と高雄の複数工場で立ち上げを進めている。スマートフォン、HPC、AI向けの需要拡大を受け、改良版のN2PやA16も順次投入する。TSMCは2ナノ世代についても、長期需要を見込める主力プロセスになるとみている。
さらに次世代のA14プロセスについては、開発が計画通りに進んでおり、2028年の量産開始を予定する。2ナノに比べ、同一消費電力で10〜15%の性能向上、同一性能で25〜30%の消費電力削減、ロジック密度で約20%の向上を見込む。スマートフォン、HPC、AI向け顧客の関心も高いという。
成熟工程については、戦略に大きな変更はないとした。汎用的な能力拡大ではなく、高歩留まりの特殊工程に引き続き注力する。日本のJASM第1工場はCMOSイメージセンサー向け、ドイツのESMCは車載・産業向けを主軸とする。一方、6インチの晶圓二廠と、窒化ガリウム(GaN)に特化した8インチの晶圓五廠は段階的に縮小し、空いたスペースを先端用途向けに転用する方針だ。