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NVIDIAファン氏講演、現地参加は満席 COMPUTEXが世界AI産業の中枢へ

Posted on 2026/05/11



世界のAI産業競争が一段と激化するなか、米エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が6月初旬に再び台湾を訪問する。6月1日には台北流行音楽センターで基調講演を行う予定で、COMPUTEX 2026とNVIDIA GTC Taipeiの開催を前に、台北は世界AIインフラ産業の重要拠点として存在感を高めている。
NVIDIAが公開した情報によると、今年のGTC Taipeiの現地参加枠はすでに満席となっており、現在はキャンセル待ち登録およびオンライン配信での参加案内が行われている。ジェンスン・ファン氏の基調講演は、6月1日午前11時(台湾時間)から全世界向けにライブ配信される予定で、市場ではAI産業の今後の方向性やNVIDIAの次世代戦略に高い関心が集まっている。
生成AIから「Agentic AI」「Physical AI」へ
業界関係者の間では、今年のファン氏の講演テーマは、生成AIからさらに進み、「Agentic AI(エージェンティックAI)」や「Physical AI(フィジカルAI)」へ広がるとの見方が強い。
Agentic AIとは、AIが単に指示へ応答するだけでなく、自律的に判断・推論・実行を行う次世代AIを指す。一方、Physical AIは、AI技術をロボット、自律移動システム、産業自動化設備など現実世界へ実装する概念だ。AIの活用領域は、クラウド上の生成モデルから、実世界で動作するシステムへと拡大しつつある。
NVIDIAは近年、ロボティクス、AIシミュレーション、デジタルツイン(Digital Twin)技術への投資を強化しており、今回のGTC Taipeiでも、スマートファクトリーやAIインフラ関連の新たな戦略が示される可能性がある。
「AI Factory」支える台湾サプライチェーン
AIデータセンター需要の急拡大を背景に、NVIDIAが提唱する「AI Factory(AI工場)」構想も、業界の重要キーワードとなっている。AI Factoryとは、単なるGPUではなく、AIサーバー、高速ネットワーク、HBM(高帯域幅メモリー)、液冷、電源管理、ソフトウエア基盤を統合したAI計算インフラ全体を指す。
その基盤を支えるうえで、台湾サプライチェーンの重要性は一段と高まっている。台湾積体電路製造(TSMC)は先端プロセスとCoWoS先端パッケージング技術を提供し、鴻海精密工業(Foxconn)、広達電脳(Quanta)、緯穎科技(Wiwynn)、英業達(Inventec)などはAIサーバーやラックレベルシステムの製造・統合を担う。さらに、台達電子(Delta)や光寶科技(LITEON)は、AIデータセンター向け電源や液冷分野へ展開を進めている。
台湾は現在、半導体、サーバー、データセンターインフラを含むAI供給網の中核拠点として位置付けられている。
GTC TaipeiとCOMPUTEX、台北がAI戦略拠点に
GTC Taipeiは6月1日から4日まで、COMPUTEX 2026は6月2日から5日まで開催される。両イベントの日程が重なることで、今年の台北は世界AI産業の注目を集める舞台となる。
NVIDIAに加え、AMD、Intel、Armなど主要半導体企業の経営陣もCOMPUTEX期間中に台湾を訪問する見通しだ。業界では、AI競争はすでに単なる半導体競争ではなく、AIインフラ、サプライチェーン統合、データセンター能力を含めた総合競争へ移行しているとの見方が広がっている。
AI GPU、高速ネットワーク、HBM、液冷、ロボティクス、Physical AIなど、COMPUTEXの展示内容も大きく変化している。かつてPC展示会として知られたCOMPUTEXは、現在では世界有数のAIインフラ展示会へと急速に姿を変えている。
ジェンスン・ファン氏が台北で示す次世代AI戦略は、今後の世界AI産業の方向性を占う重要な指標となりそうだ。




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