ニュース
MediaTek、AI時代の半導体設計は「マルチフィジックス」へ 蔡明介董事長、次世代技術の方向性を提示
Posted on 2026/06/29
MediaTekは6月24日、先端研究機関「MediaTek Advanced Research Center(MARC)」による技術フォーラム「MARC Workshop 2026」を開催した。AIの急速な進展を背景に、同社は次世代半導体の研究開発方針を示すとともに、産学連携による先端技術開発と高度人材育成の取り組みを紹介した。
基調講演に登壇したMediaTekの蔡明介董事長は、AI時代の半導体設計は従来の電気信号中心の設計から、熱、光学、材料など複数の物理現象を統合的に最適化する「Multi-Physics Design(マルチフィジックス設計)」へ進化していると説明した。また、衛星通信や宇宙空間での演算を視野に入れた「Orbit Compute(軌道コンピューティング)」も、今後の重要な技術分野になるとの見方を示した。
蔡董事長はさらに、約70年前の人工衛星「Sputnik(スプートニク)」打ち上げが世界の科学技術発展を大きく加速させたことを例に挙げ、「現在のAIと半導体産業は、新たな『スプートニク・モーメント』を迎えつつある」と述べた。その上で、次世代技術の実現には、大学と産業界が連携した長期的な研究開発と人材育成が不可欠であると強調した。
今回のMARC Workshopでは、AI画像復元技術、地上ネットワーク(TN)と非地上ネットワーク(NTN)を融合する衛星通信技術、AIを活用したRFパワーアンプ設計自動化など、複数の共同研究成果も紹介された。これらはAI、高速通信、6Gなど次世代ICT分野への応用が期待されている。
MediaTekによると、MARCは2025年に世界で91件の産学共同研究プロジェクトを実施し、195本の論文発表と11件の特許取得を達成した。研究成果の一部はすでに同社製品の開発にも活用されており、今後も大学や研究機関との連携を強化し、AI、通信、半導体分野における次世代技術の実用化を推進していく方針だ。